〜不思議な色の世界〜 解説
科学で遊ぼう!
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2b 高分子の科学
−−− 要点(かんたんにいうと) −−−
・私たち(わたしたち)自身(じしん)もタンパク質(たんぱくしつ)という高分子材料
(こうぶんしざいりょう)でできています。
・周囲(しゅうい)には高分子材料(こうぶんしざいりょう)がたくさんありますが、
地球(ちきゅう)から外に出ると、高分子(こうぶんし)というものはほとんどありま
せん。
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私たちの身の周りには、自然のもの、人工的なものを含めて、さまざまな高分子材料であふれています。
高分子材料の最も身近なものは何でしょう。 身近なというよりは、私たちの身自身ですが、体を作っているタンパク質あるいは生命情報を乗せているDNAが最も身近な高分子と言えるでしょう。 他にも植物の体を形作るセルロース、木材、紙、衣服を作っている繊維、食べ物では米の主栄養成分「でんぷん」、海藻からとれる「寒天」(アガロース)など、生物由来のものはほとんど高分子材料でできているといってもよいくらいです。(歯・骨や貝殻は、それぞれリン酸カルシウム、炭酸カルシウムでできています。高分子ではありません。) また、プラスティック、合成繊維、合成ゴムなどヒトが人工的に作り出したものにもたくさんの高分子材料があります。
これらの共通の特徴は、生物がその営みの中で、あるいはヒトが知恵を絞って作り出したものということで、その生成には生命の関わりがあるということです。
最も単純な生命体に「ウイルス」があります。 これはDNA(デオキシリボ核酸)と、これを包むタンパク質の膜を主なパーツとしてできており、他の生物の細胞にとりつかないと、自分自身だけでは何も活動できず、活動・増殖をしていないときには、ほとんど生物なのか単なる生命情報の詰まった物質なのか分からないような不思議な「生き物」ですが、基本部分のDNAと外膜のタンパク質は立派な高分子材料です。
これだけ高分子の物質にあふれた地球の環境ですが、ひとたび大気圏外の宇宙に出ると、高分子化合物は極めて極めて希なものになります。宇宙を形成している物質の99%あるいは一説では99.9%がプラズマであると言われており、固体、気体は残りのごくわずか、液体は更にわずかなものとなります。物質の3態(=固体、液体、気体)などと言われますが、宇宙全体では3態の状態にあるものは極めて少なく、ほとんどは4態目の「プラズマ」なのです。そして高分子化合物などというものは地球外にはほとんどなさそうです。(隕石からアミノ酸が検出されたというニュースも聞きますし、原始生命は自然に合成されたアミノ酸からできたタンパク質が元であると言われていますので、「ない」とも言えないようです。)
私たちがふだん何気なく食べている「米」ですが、宇宙の中で同じ材料物質(デンプン)を探すのは、海岸の砂浜で、小さいダイヤモンドのかけらを見つけるよりも難しいことでしょう。
2b−1 高分子とは
−−− 要点(かんたんにいうと) −−−
・高分子(こうぶんし)とは、たくさんの原子(げんし)がつながってできたものです。
その数(かず)がだいたい1000以上で、高分子(こうぶんし)と呼(よ)ばれるよ
うになります。
・昆布(コンブ)に含まれているアルギン酸(さん)という物質(ぶっしつ)も高分子(
こうぶんし)で、炭素(たんそ)、酸素(さんそ)、水素(すいそ)が鎖(くさり)のよう
にたくさんつながった形をしています。
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高分子とは、一般的には「多数の原子が共有結合してできる分子」として定義され、原子の数が千個程度以上、あるいは分子量で1万程度以上であれば典型的な高分子とみなされています。 共有結合とは、「2個の原子が電子を共有して作る化学結合」で、両原子間の結合線には1組の電子対が対応しています。 このような多数の原子を共有結合で連結できる元素は、炭素やケイ素、酸素などに限られるので、ほとんどの高分子は炭素またはケイ素、酸素の鎖が骨格になっています。
なお、共有結合には一重の結合( σ 結合)、二重結合( σ 結合+ π 結合)、三重結合( σ 結合+ 2個の π 結合)などもあり、 π
結合は、「2a−5 反射、透過/屈折、吸光」(パスワードページ)で触れたように、分子の発色に重要な役割を演じています。 共有結合以外の結合には、イオン結合(クーロン力による結合)、金属結合などもありますが、共有結合は最も結合エネルギーの高い強い結合です。 ダイヤモンドは最も硬い結晶ですが、これは炭素原子が共有結合でしっかりした結合を作って、このような硬い結晶となっています。
ここではまず、1−11a「七色のぶどう」で主役を演じている、高分子化合物材料「アルギン酸」の構造について見てみましょう。
アルギン酸は自然界には海藻(海草)「こんぶ」に含まれていることで知られ、コンブの体を柔軟に、しかもしっかりと支えるための成分として重要です。 このアルギン酸は文字どおり「酸」で、通常はそのままの「酸」の形ではなく、ナトリウム塩やカルシウム塩の形で存在しています。 アルギン酸ナトリウムでは通常水溶液、アルギン酸カルシウムの場合には、通常固形物となっています。
アルギン酸の構造を以下の図に示します。 各2本以上の線の交点には炭素原子Cが一個存在するものと見てください。(また、3本の線の交点には、図示されない4本目の線 −H(水素) が省略されています。)
このように、アルギン酸は炭素Cの骨格に酸素O,水素Hがつながり、この基本形が繰り返しつながってできているものです。 この中で −COOH となっている部分が「酸」の特徴を持っている要因で、わずかですが −COO と H+に電離して酸の性質を示します。 アルギン酸ナトリウムでは、この水素HがナトリウムNaに置き換わって −COONa となったもの、アルギン酸カルシウムは2個の水素と置き換わって −COO
Ca OOC− と2箇所の −COOH をつなげてできたものです。
2b−2 アルギン酸が固まるわけ
−−− 要点(かんたんにいうと) −−−
・昆布(コンブ)に含まれているアルギン酸(さん)という物質(ぶっしつ)は、
カルシウムという物質(ぶっしつ)があると、それを橋(はし)のように使っ
て、たくさんのアルギン酸(さん)がつながります。
・こうして、たくさんのアルギン酸(さん)がつながると、柔らかい(やわらかい)
ゼリーのようなものになって固まります。
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アルギン酸ナトリウムはNaの電子対の腕が1本なため、 −COOH のHと入れ替わるだけでした。 この状態で水に溶かせば、水溶液となっています。 ところが、先ほどアルギン酸カルシウムで見たように、カルシウムでは電子対の腕が2本あるために、2箇所の −COOH基をカルシウムイオン(Ca2+)を橋(媒介)として結びつけることになります。
下の図はそのことを表したもので、2本のアルギン酸の鎖を、その横でCa2+が媒介になって(クーロン力で)結びつけています。
カルシウムイオンCa2+が十分にあると、この橋がたくさんできますから、一本の鎖だったアルギン酸は、多数結びついて固まっていきます。 この一部を絵にしたのが右の図で、こうした構造をegg
box junction(エッグボックスジャンクション)と言います。 右の絵と上の絵は等価です。
このegg box junctionは、2本のアルギン酸の鎖しか描かれていませんが、実際にアルギン酸カルシウムが固まった状態では、たくさんのアルギン酸分子が、このような構造でつながっています。
1−11a「七色のぶどう」で演出しているのは、塩化カルシウム水溶液にアルギン酸ナトリウム溶液を滴下して、このegg box junctionを瞬時に外皮に作り、この液滴を固めた粒です。 時間が経つと、カルシウムイオンは内部に浸透して、中の方まで固まっていきます。 少し固まり始めた状態で取り出すと、カルシウムがまだ十分置き換わっていないため、少し柔らかめのゼリーのような感じですが、時間が経って中の方まで固まると、ちょうど寒天のように、やや固めで「さくい」感触の粒になります。
アルギン酸ナトリウムのナトリウムは、カルシウムと入れ替わりに水溶液側に溶け出していきますので、粒の滴下をずっと続けますと、塩化カルシウム溶液は塩化ナトリウム(食塩)の溶液に入れ替わっていきます。 塩化カルシウムの濃度が下がってきますと、アルギン酸の相手になるカルシウムイオンが来るのを待つ時間が長くなりますので、固まり方が悪くなってきます。
では、この辺でアルギン酸の話を一段落して、その他の高分子を見てみましょう。 アルギン酸の話の続きは、「2b−4 Appendix ストロンチウム他による固化」で再開することにします。
2b−3 高分子材料いろいろ
−−− 要点(かんたんにいうと) −−−
・高分子材料(こうぶんしざいりょう)は、やわらかいものだけではなく、
鉄(てつ)よりも固くて、軽くて(かるくて)、丈夫なものもあります。
・光で伸び(のび)縮み(ちぢみ)する繊維(せんい)、酸素(さんそ)を
より分ける高分子膜(こうぶんしまく)、など、他にも(ほかにも)いろ
いろあります。
・この高分子(こうぶんし)の分野(ぶんや)は、多くの研究者(けんきゅ
うしゃ)の方が取り組んでいる(とりくんでいる)、おもしろくて将来(し
ょうらい)更に(さらに)伸びる、人の役に立つものが多い分野です。
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私たちは、朝、目覚まし時計の音で飛び起き、外に出れば日のまぶしさに目を細め、外を一歩ずつ間違えずに足を動かして器用に歩きますが、これらの動きは全て化学反応(電気化学反応を含む)でなされています。 何かの都合で体に電子回路や機械部品を入れている場合もありますが、人は生まれてきたときには電気部品・機械部品を持っておらず、私たちの動き、情報の収集、環境変化への反応/適応は、全てこうした電気化学を含む化学反応でなされているのです。
自然界にはいろいろな色の花があり、美しい色の貝があり、芳香を持った花があり、実ったタネからは芽が出て、やがてまた花が咲きますが、こうした色素、芳香成分、発芽機構は、全て生体内の触媒(高分子たんぱくでできているものが多い)などを駆使して、通常の常温常圧では起こらないような化学反応を迅速に進ませ、生物が何かの目的を持って「苦心して」作り出しているものなのです。
私たちが、目的を持って行動し、その日の活動が終わると家に帰ってきて、一杯飲んでくつろいでいるのも、全て化学反応によってなされているのですから、考えてみるとこれは「不思議な世界」以外の何物でもありません。 自分自身の構造でもあることながらも、全く良くできているな、と感心してしまいます。
さて、こうした環境の変化、外部の情報をとらえ、この状態に応じた反応・動作を、物質自身の特性として行うような材料が自由に設計できたら、この世界の様子もずいぶんと変わるでしょう。
高分子を研究されている方は世界中に多くいらっしゃいますが、この方々の一つの大きな目標は、こうした「目的とした性質を持った高分子材料」を自由に設計すること、想定した外界の刺激に対して「予定された反応を示すような材料」を提供する、というようなことが挙げられています。 この分野はこれからもどんどん伸び、人の生活が便利になったり、快適になったり、安全になったりするような、身近な人の役に立つものが多く出てくる研究分野です。
そして生物は、まさにこうした目的とした性質を持った物質を自身で合成し、想定した外界の変化、刺激に適切に反応するようにできており、生物から学ぶことは非常に多いのです。
さてこうした高分子の分野ですが、範囲が非常に広いので、まずはおもしろそうなトピクスを2、3挙げてみることにします。
時間を見て、記事を追加していけるかもしれませんし、筆者も高分子材料を使って、例によって「何かおもしろそうなものを作れないか」と考えていますので、後はそうしたものが見えてきたら、またこのHOME、1項
手品のコーナでご紹介できるかもしれません。
固くて軽い高分子繊維
高分子材料というと、弾力があって柔らかいものを連想しますが、これは分子の連なった鎖が幾重にも折り重なって、この重なりで加えられた張力を吸収しているためです。 分子間の結合力というものは非常に強いですから、この鎖が曲がらないようにして一列に並べ、これをたくさん束ねると、軽くて非常に強い線を作ることができます。
このような高分子材料でできた繊維の中には、普通の鉄よりも固く強い材料もあります。 防弾チョッキや高性能タイヤの主補強材料に使われているケブラーがその代表選手で、これは軽い上に固いという特徴を生かして、軽く作ることが重要なテーマの宇宙航空分野でも使われます。 筆者もそんな分野に従事した経験があるので、ケブラーの余った切れ端をはさみで切ろうとして、全く歯が立たないのに驚いた記憶があります。
例えば、こうした固い高分子材料の代表選手ケブラー(アラミド繊維)は、本質的に折れ曲がりにくい構造を持った高分子鎖を束ねて一本の線(繊維)にしたもので、物が切れ始めるきっかけとなる最も弱い欠陥部分も少ないため、格子欠陥の多い通常の鉄線よりも固い(硬い)、強い繊維になります。(もちろん格子欠陥のない鉄線も得られており、こちらはもっと強いものになります。)
光で伸縮する高分子繊維
パスワードで入るページの中で、以下のような「アゾベンゼン」という物質を紹介しています。このパスワードページでアゾベンゼンを取り上げたのは別の意味なのですが、ここでは「光で伸縮する高分子」の設計に利用できるという観点で取り上げてみたいと思います。
このアゾベンゼンという物質は、通常に存在するのは上左側のtrans-アゾベンゼンの方で、これは橙赤色をした葉状結晶の物質です。 上の図に示したように、このtrans-アゾベンゼンに313nm付近の紫外光を当てると、分子の形態が変わり、上右側のcis-アゾベンゼンに変わります。 cis-アゾベンゼンは436nm付近の青色可視光を当てるか、加熱すると、再び元のtrans-アゾベンゼンに戻ります。
trans-アゾベンゼンは分子の長さが9オングストローム(0.9nm)、cis-アゾベンゼンは5.5オングストローム(0.55nm)ですから、この分子構造を高分子の鎖の中の基幹部分にうまく取り込んでやれば、青色可視光/紫外光で伸び縮みする高分子材料が設計できることが期待されます。 こうした光で伸縮する高分子材料は実際に作られています。 こうした材料を使えば、メカトロニクスを使わなくても、紫外線の強い日には、自然に肌を強く保護する機能を持った服や帽子などが設計できそうですね。
酸素をより分ける高分子膜
通常、空気の中の酸素は約21%、約1/5が酸素ですが、酸素濃度が高ければより少ない吸気量で必要な酸素が確保できますから、(程度によりますが)呼吸は楽になります。 部屋の酸素濃度を高くする機能を持ったエアコンなども出ていますが、どうやって酸素濃度を高めているのでしょう。
ほとんどの高分子膜は、空気中の窒素の透過速度と酸素の透過速度を比べると、酸素の方が高いのですが、その程度は高分子の種類によって桁違いになります。 (といっても、酸素だけを吸おうなどと考えて、高分子膜をかぶったりしないように注意してください。 透過する酸素の絶対量が、呼吸に必要な量を全く満たさないので、呼吸できなくなります。) 高分子膜を酸素が通過するというのは、高分子膜の材料の中に酸素が一旦溶けて、反対側から出てくるというように理解した方が分かり易いでしょう。
酸素の透過しやすい、高分子繊維間のすき間の広い高分子材料に、シリコンゴムに似た材料で「ポリジメチルシロキサン」という材料があります。 これは、基本骨格が炭素ではなく、ケイ素(シリコン
Si)と酸素の鎖でできており、周囲にメチル基( −CH3 )をちりばめた構造を持っています。 この材料は酸素の選択透過特性に優れており、欠点の強度を別の材料膜で補って、医療用酸素製造器や、酸素透過性ソフトコンタクトレンズ、燃料等の防爆充填用窒素製造、半導体関連の窒素供給などに利用されています。
これらの他にも、いろいろな気体を分離する膜、液体を分離する高分子、反応触媒を基本鎖に結合させた化学反応促進高分子材料、形状記憶高分子、温度に反応する高分子、自然分解性プラスティックなど、おもしろい材料がたくさんあります。
筆者も、人の生活を豊かにし、非常におもしろいものの多い、この分野の発展を願っている一人なのであります。
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2b−4 Appendix ストロンチウム他による固化
−−− 要点(かんたんにいうと) −−−
・アルギン酸(さん)とカルシウムで、「つぶつぶの固まり(かたまり)」
ができましたが、カルシウムととても似た(にた)性質(せいしつ)の
あるマグネシウムやストロンチウムでもつぶつぶはできます。
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さて、話は戻って、先ほど2b−2で見てきた「液体がつぶつぶの固体に変わる」、アルギン酸カルシウムのこの現象ですが、カルシウムイオン(Ca2+)とアルギン酸ナトリウムで、液体からこのような固形物ができることは良く知られており、いろいろな図書、出版物に記載されています。
しかし、ここではこれだけで終わってはおもしろくありません。 せっかく「科学であそぼう」としているわけですから、もう一つ浮かんできた疑問の答えを実験で確認してみましょう。
カルシウムと周期律表で同じ列に位置するマグネシウムイオン(Mg2+)、これは豆腐を固める「にがり」に含まれていたり、下剤に利用されたり、また一方では、植物の葉緑素の中心をなしている重要な元素です。 このマグネシウムイオン(Mg2+)や、同じ周期律表の縦仲間のストロンチウムイオン(Sr2+)をカルシウムイオンの代わりに用いた場合どうなるか見てみましょう。
ストロンチウムはあまり聞き慣れない元素ですが、花火を炎色反応で赤くしたりするのに使われている元素です。 ウラン235が核分裂(中性子を吸収してウラン236になり分裂する)を起こすときに、放射性同位元素のストロンチウム89,90(89Sr,90Sr)が出てくることでも知られており、こちらの同位体は放射能を帯びて有害ですが、一般に入手可能なストロンチウム化合物(88Sr、86Sr、87Sr、84Srのそれぞれ82.6%, 9.9%, 7.0%、 0.5%の混合物)は放射能を持っていません。 (こうした88Sr以外の原子も含まれているため、ストロンチウムの原子量は87.62という中途半端な数値になっており、例えば酸素(=16.00)のように88.00ぴったりにはならないのです。)
話が脱線しましたが、マグネシウムやストロンチウムを用いた場合は、周期律表から予想されたように固化し、マグネシウムでは柔らかめ、ストロンチウムでは堅めになります。マグネシウムでは、カルシウムの場合と同じイオン濃度ではしっかりと固化せず、取り出すとくずれてしまうので、形状を保つにはMg濃度を高くする必要がありました。 なお、ストロンチウムイオンで固化した様子は下の写真を見てください。(カルシウムイオンの場合と同じイオン濃度として滴下しています。 着色すると金属イオンによる着色がある場合にそれが見えないので、無着色で行っています。)
Sr2+イオンによって固化 Ca2+イオンによって固化
(写真をクリックすると拡大表示します。)
2b−5 Appendix さらに他の金属イオンでは
−−− 要点(かんたんにいうと) −−−
・アルギン酸(さん)と、マグネシウムやストロンチウムでも、「つぶつぶ
の固まり(かたまり)」ができましたが、他の(ほかの)金属(きんぞく)
イオンではどうでしょうか?
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アルギン酸が固化するのは、アルギン酸の高分子がカルシウムイオンなどを媒介として結合したためだということを見てきましたが、同じように2本の腕を持つ銅イオン(Cu2+)やニッケルイオン(Ni2+)、マンガンイオン(Mn2+)、鉄イオン(Fe2+)を用いた場合はどうなるでしょうか。周期律表では全く違う列に位置していますが、どのような性質がポイントなのでしょうか。
同じ鉄イオンでも3価のもの(Fe3+)もありますね。これを用いた場合はどうでしょう、固まるでしょうか。鉄の3本の腕に3本のアルギン酸が結合して更に高分子となって固化するのでしょうか。更に3価の金属イオン代表選手アルミニウムイオン(Al3+)ではどうでしょうか。
4価のイオンもあります。チタンイオン(Ti4+)ではチタン原子を中心に4本のアルギン酸が結合するでしょうか。
別の意味で興味があるのは、ナトリウムやカリウムと同じような、腕が1本の金属イオンです。 銅は通常2価のイオンを形成しますが、酸化状態によっては1価の状態をとります。 このような容易に酸化/還元される性質を持っていることから、酸化還元の触媒として使うこともあります。 ここでは、純粋に一価の銅イオンだけを得ることは難しいので、周期律表で銅と同じ系列ですが、通常の状態では1価のイオン銀ではどうなるか試してみましょう。 ナトリウムなどと同じように、アルギン酸の高分子に一本の腕でぶら下がるだけなので、固まらないというのが答えでしょうか?...
これらを、それぞれのイオンを含む溶液で、カルシウムの場合と同じように、それらのイオン濃度が同じになるようにして試してみました。
この結果は.....?
まずは、この手品(のようなもの?)を持っていらっしゃる方々だけの、共通のお話ということにしておきましょう。...
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この続きは、手品のパスワードから入った目次の同じ2節 2b「高分子の科学」の記事の続きとして参照することができます。
1−11a「七色のぶどう」に同梱された説明書にもパスワードが記載されていますが、他の手品のパスワードから入っても同様に参照することができます。 また、逆に、他の手品用解説(例えば「色の変わるわけ(1)、(2)」など)は、1−11a「七色のぶどう」に同梱された説明書のパスワードからも参照可能です。
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