炎色反応実験用ヨウ化カリウム KI、ヨウ化ナトリウム NaI溶液に含まれるヨウ素について
(予防用に服用しないでください)
東北関東大震災(東日本巨大地震2011.3.11 14時46分)に遭われた方におかれましては、お見舞いを申し上げます。
また危険を冒して原発の事故対策に当たられている方々に感謝いたします。
この震災の二次災害、福島原子力発電所の放射能漏れ事故に関連して、炎色反応実験用ヨウ化カリウム KI、ヨウ化ナトリウム NaI溶液の成分の一部であるヨウ素について記載します。
(元ページはこちら ~不思議な色の世界~ 炎色反応 http://morinoneiro.jp/kagakude/ennshokuhannnou/flame1_set.html)
要点としては次のとおりです。
本炎色反応実験用の溶液の一部(ヨウ化カリウム KI、ヨウ化ナトリウム NaI)には、各3ml,6mlの溶液当たり化合物の形でヨウ素が単体換算で約180mg,360mg含まれていますが、これを予防用として服用なさらないようにお願いします。(当然、放射性ではありませんが。)
また、万一誤って飲用などで本品の成分を摂取した場合の影響ですが、例えばKI または NaIの溶液を1滴を誤飲用した場合、12歳以上の人が長期間に亘って摂取してよい許容最大ヨウ素量の1.0倍であること、また3mlの全量を誤飲用した場合には、12歳以上の人がこうした放射性ヨウ素対策として短期間に服用するとされる量の1.8倍程度であることを、念のため記載しておきます。 (KIとNaIは、同じモル濃度にしていますので、ヨウ素成分量も同じ(約3mg/1滴(0.05ml)、 1滴は約0.05ml)になっています。)
(ただし誤飲用した場合には、過剰摂取の問題等もありますので医師に相談し、上記成分と飲用量を伝えてください。)
----- 以降詳細内容です -----
レベル7
福島原発の放射能漏れ事故は、’11/4/12の今朝方突然、経済産業省より国際原子力事象評価尺度(INES)で暫定評価レベル7相当であることが発表されました。 これまでもレベル5は過少評価でレベル6相当ではと考える方も多かったようですが、そこまでのレベル(放射性物質の重大な外部放出、ヨウ素131等価で
数万テラベクレル相当以上の放射性物質の外部放出) だったとは思いもよらなかった方も多かったと思います。
今までずっと政府より放射能(放射性物質)は出ているが人体への影響は低いので安心するように、と呼びかけられていましたので、最悪の原子力事故であった1986年のチェルノブイリ原発事故と同じレベルで評価されるような放射能漏えい規模であったとは考えてもいませんでした。
放射性ヨウ素131対策
原発等の放射能(放射線)漏れ事故では、まず放射性ヨウ素の人体内取り込みによる体内被曝が、最初に予防するべき問題と考えられており、こうした物質(放射性ヨウ素の化合物)に触れない対策が最も重要ですが、大気や水、食品他から取り込む可能性に対する一般的な対処としては、自然界に通常存在する元素的に安定した(放射線を出さない)ヨウ素の
過剰摂取による、外部からの放射性ヨウ素を
取り込ませない対策が取られています。 これが安定化ヨウ素剤を服用する目的/趣旨です。
一部地域ではこうした安定化ヨウ素剤が実際に配布されているようですが、ヨウ素は過剰摂取に対する副作用もありますから、今後万一「ヨウ素剤を服用してください」というような事態になった場合でも、この過剰摂取の副作用の点も考慮し、公式の情報に従った用法や医師の処方に基づいて服用する必要があります。
さてこうした問題に関連して、本サイトで扱っている
炎色反応実験用ヨウ化カリウム KI、ヨウ化ナトリウム NaI溶液は、ヨウ素化合物の形でヨウ素を成分として含んでいますが、以下にその注意事項を記載しておきます。
本炎色反応実験用溶液は、こうした問題に対する予防としてのヨウ素を処方するために調合されているものではありませんので、
予防用としての服用はしないようにお願いいたします。
なお、念のためそのヨウ素含有量を以下に記載しておきます。 全量を誤飲するなどでなければ、大きな問題になる量ではないと考えられますが、
万一これを誤って飲用してしまった場合には、以下の情報をもって医師などにご相談いただくようお願いいたします。
-----
炎色反応実験用ヨウ化カリウム KI、ヨウ化ナトリウム NaI溶液には
ヨウ素化合物の形で、
ヨウ素(原子量127(注※)、放射性ではない)が
約180mg(各KI、NaI溶液 1本3ml中につき。
6mlの方の容量では
約360mg)含まれています。 またこれは、1滴約0.05ml中としては、ヨウ素換算で約3mgになります。
以下に引用している情報の中で下表の対比するように、例えばKI または NaIの溶液を1滴を誤飲用した場合、12歳以上の人が長期間に亘って摂取してよい許容最大ヨウ素量の1.0倍であること、また3mlの全量を誤飲用した場合には、12歳以上の人がこうした放射性ヨウ素対策として短期間に服用するとされる量の1.8倍程度となります。 (但しNaIやKIは、えぐいような辛味が強く癖のある、食塩に類似だが不味い味があり、これを3mlも誤飲用することはないと考えられます。)
放射線障害に対する緊急摂取の推奨用量
年齢 ヨウ化カリウム (mg) ヨウ素酸カリウム (mg) ヨウ化ナトリウム(mg) 計算等価量 本KIまたはNaI溶液 3mlの等価量(何倍かで示す)
12歳以上 130 170 117.4 1.8倍
3 - 12歳 65 85 58.7 3.6倍
1 - 3 歳 32 42 28.9 7.3倍
1歳未満 16 21 14.5 14.6倍
また、6ml容量の方の全量を飲用した場合には、12才以上の方が緊急摂取の1日の推奨値としている量の約3.6倍の摂取量になります。 (以下に関連する情報のうち重要な部分を引用します。)
なお、こうした放射能・放射線への対処の必要がなく、通常時にヨウ素を長期にわたって取ってもよいとされる最大許容摂取量は1日3mgと言われています。 これは、本KI または NaI溶液の1滴(約0.05ml)に含まれるヨウ素の等価量にほぼ等しい量となってます。 (以下引用の2006/10/12 文部科学省 事業評価書「食品成分の分析・定量事業」より) 上記のヨウ素(ヨウ素化合物)処方量は、こうしたアクシデントの際などに短期的に服用してもかまわない量と考える必要があります。
また逆に(余談になりますが)、ヨウ素が体内に欠乏している状態では、こうしたアクシデントで飛散してきた放射性ヨウ素を取り込む準備ができている状態になっていると考えられますから、
万一の飛散事故の際にはヨウ素が慢性的に体内で不足しない状態にあるように、少なくとも同評価書で記載されているような摂取推奨量の数値(0.15mg/日)は取っておくことが望ましいと考えられます。(注※2)
なお、引用したヨウ素処方量、摂取量と対比するため、次の事実を記載しておきます。
ヨウ化カリウム(KI)には76.5%、 ヨウ素酸カリウム(KIO
3)には59.3%、ヨウ化ナトリウム(NaI)には84.7%がヨウ素(I
2)の分量として含まれています。 また、炎色反応の実験に用いているヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)の化合物純度は99.5%以上の高純度のものを使用しています。
ここで挙げたヨウ化カリウム(KI)、 ヨウ素酸カリウム(KIO3)、ヨウ化ナトリウム(NaI)は、以下引用(原子力安全委員会、Wikipedia、文部科学省、厚生労働省より)のように、放射能/放射線への障害予防用、緊急対策用として用いられている化合物です。
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※注: 放射性ヨウ素として問題になっているものはヨウ素131。(原子量131、放射性ではないヨウ素127よりも中性子が4個多く原子
核に存在する。)
ヨウ素127は原子核中に陽子53個、中性子74個が入っており、放射性のヨウ素131は同じく陽子53個で中性子が78個含ま
れている。 放射性ヨウ素131はβ線(電子)とγ線(X線)を放出してキセノン131に変化する。
放射性ヨウ素131が体内に取り込まれるとこのβ線、γ線が細胞の遺伝子を傷つけ、主にヨウ素がホルモンとして有機ヨウ素の
形で体内に蓄積され、甲状腺の発がんの原因となる。)
※2注:イソジンなどの名称で知られる「ヨウ素系うがい薬」は、製品1ml中に有効ヨウ素7mgが含まれていると記載されています。 成
分量から逆算して、0.02ml(およそ1滴の2/5)でほぼ1日の推奨量、0.43ml(ほぼ9滴)で1日の長期許容最大摂取量にな
ると考えられます。 しかし、こちらのヨウ素はヨウ素でんぷん反応を示すことからもわかるように、殺菌力の強いヨウ素単体の形
で存在していると考えられますので、摂取すると人体に有害です。 他にも殺菌剤などが配合されているようですが、これは現在
いろいろなところに注意喚起の関連情報が掲載されているとおりです。
ヨードチンキとして知られる傷の消毒薬は、ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素他を溶かしたものですが、同様に殺菌を目的としたも
ので、万一飲用摂取した際の人体への有害性は同様と考えられます。
以上、震災の二次災害、福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故に関連して、放射能による甲状腺発がんの予防対策として一般的に処方されるヨウ素製剤に関する予備知識、 兼 炎色反応実験用ヨウ化カリウム KI、ヨウ化ナトリウム NaI溶液の用法注意事項、同溶液に含まれるヨウ素等価量とその安全性に関する説明でした。
参考文献:
以下は本記載に関連する「
原子力災害におけるヨウ素剤の服用」に関連する参考ページで、重要な点については部分引用しています。
----- ここから
引用開始 -----
東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故・トラブルに対するINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の適用について
平成23年4月12日 経済産業省
担当 原子力安全・保安院、原子力安全広報課
出典:
http://www.meti.go.jp.cache.yimg.jp/press/2023/04/20230412001/20230412001.html
(以下重要な部分を
引用)
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故・トラブルに対するINES評価について、3月18日以降に得られた情報を踏まえ、
レベル7と暫定評価しました。ただし、
放射性物質の放出量は、同じレベルの
チェルノブイリ事故の1割程度です。
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原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について
平成14 年4 月 原子力安全委員会 原子力施設等防災専門部会
出典:
http://www.nsc.go.jp/bousai/page3/houkoku02.pdf
(以下重要な部分を
引用)
3.安定ヨウ素剤による効果
放射性ヨウ素は、呼吸により吸入され気道に沈着し、気管支及び肺から迅速に体循環に移行し、また、吸入された放射性ヨウ素の一部は、咽頭部にも沈着し、食道を経て消化管から吸収され、体循環に移行する(19,20,21)。取り込まれた放射性ヨウ素の約10~30%は、24時間以内に甲状腺に選択的に集積し、残りの大部分は主に腎臓より尿中に排泄される(21)(参考資料-図Ⅰ)。
なお、我が国においては、医療現場などでの放射性医薬品であるヨウ素の服用による知見等から、日常の食生活において、コンブ等からヨウ素を摂取する頻度が高いため、放射性ヨウ素の甲状腺への取込みは少なくなることが知られている(22)。
甲状腺に集積した放射性ヨウ素は有機化され、一定期間、甲状腺内に留まる。一般に、成人の甲状腺でのヨウ素の生物学的半減期は約80日で、19歳以下の若年者では成人のそれと比べて短い(23)。
健康な成人が安定ヨウ素剤を服用すると、服用後1ないし2時間以内に、その尿中排泄濃度は最大となる。その後、時間とともに尿中ヨウ素排泄量は漸減し、72時間後には、服用した安定ヨウ素剤のほとんどが体内から排出される(24)。
安定ヨウ素剤予防服用による、放射性ヨウ素の甲状腺濾胞細胞への取込みを低減させる効果は、
高濃度の安定ヨウ素との共存により、血中の放射性ヨウ素の
甲状腺濾胞細胞への取込みと競合すること(25,26,27,28,29,30,31,32)や細胞内へのヨウ素の
取込み抑制効果(33)により、放射性ヨウ素の甲状腺濾胞細胞への
選択的な集積を減少させる(参考資料-図Ⅱ)。成人では、安定ヨウ素剤として広く用いられるヨウ化カリウムの製剤は、少なくとも30 mg の服用量で、放射性ヨウ素の甲状腺への集積の95%を抑制することができる(34)。
放射性ヨウ素が吸入あるいは体内摂取される
前24時間以内又は直後に、安定ヨウ素剤を服用することにより、放射性ヨウ素の
甲状腺への集積の90%以上を抑制することができる(25,26,27,28,34)。また、すでに放射性ヨウ素が摂取された後であっても、
8時間以内の服用であれば、
約40%の抑制効果が期待できる(34)。しかし、
24時間以降であればその
効果は約7%となることが報告されている(34)。
また、この効果は、安定ヨウ素剤服用後、少なくとも1日は持続することが認められている(25)。
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Wikipedia ヨウ素剤
出典:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A6%E7%B4%A0%E5%89%A4
(以下重要な部分を
引用)
ヨウ素剤(ヨウそざい、英: Iodine
tablet)は、ヨウ化ナトリウムやヨウ化カリウムの製剤として内服用丸薬、シロップ薬、飽和溶液 (saturated solution of potassium iodide: SSKI)、粉末状の塩等として製剤される他、アルコール溶液やポリビニルピロリドンとの錯体として製剤される。 放射性同位体の崩壊を利用し放射線医学試薬として、または安定同位体を利用して原子力災害時の放射線障害予防薬や造影剤の原料として用いられるほか、強い殺菌力を利用し消毒薬、農薬などに用いられる。
原子力災害時の放射線障害予防薬
ヨウ素は同位体の種類が多く(ヨウ素の同位体を参照)、その大半が放射性同位体として知られているが、自然に存在するヨウ素のほぼ100%が安定同位体のヨウ素127
(
127I) であり、「安定ヨウ素」と呼ばれる。安定ヨウ素はカリウム塩の「安定ヨウ素」製剤として、丸薬または内服液として用いる。
大量にヨウ素を摂取した場合、甲状腺にヨウ素が蓄積される。それ以後にさらにヨウ素を摂取しても、その大半が血中から尿中に排出され、甲状腺に蓄積されないことが知られている。
それを応用したのが、放射線障害予防のための「安定ヨウ素剤」の処方である。
非放射性ヨウ素製剤である「安定ヨウ素剤」を予防的に内服して甲状腺内のヨウ素を安定同位体で満たしておくと、以後のヨウ素の取り込みが阻害されることで、放射線障害の予防が可能である。この
効果は本剤の服用から1日程度持続し、後から取り込まれた「過剰な」ヨウ素は速やかに尿中に排出される
[3]。 また、
放射性ヨウ素の吸入後であっても、
8時間以内であれば
約40%、
24時間以内であれば
7%程度の取り込み阻害効果が認められるとされる
[4][5]。
なお、放射性ヨウ素の被曝による甲状腺の障害は、甲状腺の機能が活発な若年者、特に甲状腺の形成過程である乳幼児においてに顕著であり、40歳以上では有意ではない
[6]ため、本剤の投与は40歳未満の者に対してのみ行われる
[3]。国際原子力機関 (IAEA) の基準では本剤の適用範囲を年齢・性別を問わずに適用としているが、世界保健機関 (WHO) の基準では40歳未満としている。日本においては、日常的にヨウ素を多く含む海藻類の摂取が日本以外の国と比較して多く、過剰摂取回避に注意する必要がある。
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Wikipedia ヨウ化カリウム
出典:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A6%E5%8C%96%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
(以下重要な部分を
引用)
原子力災害時の放射線障害予防薬として。 [編集]
詳細は「ヨウ素剤」を参照。
非放射性のヨウ素をカリウム塩にしたものを「安定ヨウ素」製剤として用いる。
本剤に副作用は少ないが、ヨウ素への過敏症や、甲状腺機能異常を副作用として惹起する可能性がある。
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Wikipedia ヨウ素酸カリウム
出典:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A6%E7%B4%A0%E9%85%B8%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
(以下重要な部分を
引用)
用途
一部の国では、甲状腺異常予防のため食卓塩や乳児用粉ミルクに添加される。
また、臭素酸カリウムと同様、パンの改良材として用いられる場合がある。
放射線対策
放射能で汚染されたヨウ素が甲状腺に集まる前に、甲状腺のヨウ素を飽和状態にする効果があるため、放射線療法や放射能漏洩を伴う原子力施設事故の際に使用される[1]。アイルランド、シンガポール、アラブ首長国連邦などでは錠剤の形で備蓄され[2]、高温多湿の環境下の貧困層に届けられている[3]。アイルランドでは、イギリスのセラフィールド再処理施設の事故の際には実際に国民にヨウ素酸カリウム錠が配布された。
放射線障害に対する緊急摂取の推奨用量
[4]
年齢 ヨウ化カリウム (mg) ヨウ素酸カリウム (mg)
12歳以上 130 170
3 - 12歳 65 85
1 - 3 歳 32 42
1歳未満 16 21
[4]
Guidelines for Iodine
Prophylaxis following Nuclear Accidents,
World
Health Organization, Update 1999
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Wikipedia ヨウ化ナトリウム
出典:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A6%E5%8C%96%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0(以下重要な部分を
引用)
ヨウ化ナトリウム、sodium iodideは化学式が NaI と表される、白い固体状の塩である。ナトリウムのヨウ化物。フィンケルシュタイン反応と呼ばれるハロゲン交換反応の反応剤として、有機ヨウ素化合物の合成に用いられる。
ヨード欠乏症の治療、放射線の検出などへの用途も知られる。
用途: ヨウ化ナトリウムは
ヨード欠乏症の治療と予防のために使われる。
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Wikipedia ヨウ素
出典:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A6%E7%B4%A0
(以下重要な部分を
引用)
日本は国民保護法に基づく国民の保護に関する基本指針により、核攻撃等の武力攻撃が発生した場合に武力攻撃事態等対策本部長又は都道府県知事が、安定ヨウ素剤を服用する時期を指示することになっている。
なお、独立行政法人放射線医学総合研究所は、
たとえヨウ素を含んでいてもうがい薬や
消毒剤など、内服薬でないものは「安定ヨウ素剤」の
代わりに飲んだりしないようにとしている[1][2]。
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文部科学省事業評価書(平成19年度新規・拡充事業等)政策目標4 74 食品成分の分析・定量事業
「食品成分の分析・定量事業」 作成者:文部科学省 作成日:2006/10/12
出典:
http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/06091508/077.pdf
(以下重要な部分を
引用)
日本人の食事摂取基準
I ヨウ素 欠乏しても摂り過ぎても甲状腺障害に。
推奨量150μg/日 上限量3000μg/日
Mo モリブデン 欠乏すると頻脈、頭痛、摂り過ぎると高尿酸血症など。
推奨量25μg/日 上限量300μg/日
Cr クロム 欠乏すると高血糖、動脈硬化など。
推奨量40μg/日
Se セレン 欠乏すると心筋症、摂り過ぎると脱毛、爪の変形など。
推奨量30μg/日 上限量450μg/日
V.H ビオチン 欠乏すると皮膚炎、脱毛など。
別名ビタミンH 目安量45μg/日
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重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症 平成21年5月 厚生労働省
出典:
http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm0905006.pdf
(以下重要な部分を
引用)
ヨード含有食品あるいはヨード含有医薬品:ヨードは甲状腺ホルモンの重要な原料だが、もともとヨード充足地域である我が国(主な食品のヨード(ヨウ素)含量と日本人におけるヨウ素の食事摂取基準:表1、2)ではヨード摂取でホルモン過剰となることはほとんどない。
表1 主な食品(可食部100gあたり)のヨウ素含有量
植物性食品 動物性食品
食品 ヨウ素(μg/100g) 食品 ヨウ素(μg/100g)
こんぶ 131000 いわし 268
わかめ 7790 さば 248
あまのり 6100 かつお 198
大豆、国産 79 バター 62
あずき 54 鶏肉 49.9
こめ、精白米 39 鶏卵、卵黄 48
グリーンピース、生 20 あじ 31.2
食パン 17 牛肉 16.4
さつまいも 9.3 豚肉 17.8
たまねぎ 8.4 普通牛乳 6
(五訂 日本食品成分表 食品成分研究調査会編参考資料:「医歯薬出版」のデータより引用)
表2 ヨウ素の食事摂取基準(μg/日)
性別 男性 女性
推奨量 目安量 上限量 推奨量 目安量 上限量
年齢 (RDA) (AI) (UL) (RDA) (AI) (UL)
0~5(月) - 130 - - 130 -
6~11(月) - 170 - - 170 -
1~2(歳) 60 - - 60 - -
3~5(歳) 70 - - 70 - -
6~7(歳) 80 - - 80 - -
8~9(歳) 100 - - 100 - -
10~11(歳) 120 - - 120 - -
12~14(歳) 140 - - 140 - -
15~17(歳) 140 - - 140 - -
18~29(歳) 150 - 3000 150 - 3000
30~49(歳) 150 - 3000 150 - 3000
50~69(歳) 150 - 3000 150 - 3000
70以上(歳) 150 - 3000 150 - 3000
妊婦(付加量) +110 - -
授乳婦(付加量) +190 - -
・推奨量(RDA, Recommended Dietary Allowance):ある性・年齢階級に属する人々のほ
とんど(97~98%)が1日の必要量を充たすと推定される1日の摂取量。
・目安量(AI, Adequate Intake):ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を
維持するのに十分な量。 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察され
ない量)。
・上限量(UL, Tolerable Upper Intake Level) :ある性・年齢階級に属するほとんど全
ての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養摂取量の最大限の量。
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平成20 年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)日本人の食事摂取基準を改定するためのエビデンスの構築に関する研究 -微量栄養素と多量栄養素摂取量のバランスの解明−
3.コンブ加工食品のヨウ素含量
出典:
http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H20-III-3.pdf
(以下重要な部分を
引用)
コンブはヨウ素濃度が高く,日本人にとって最大のヨウ素供給源であるといわれている。 日本人のコンブからのヨウ素摂取量を推定する目的で,日本人が摂取しているコンブなどの乾燥食用海藻類,および各種のコンブ加工食品を,京都市内および函館市内で購入し,ヨウ素濃度を誘導結合プラズマ質量分析法で測定した。 コンブ類のヨウ素濃度は,その種類とは無関係に,他の食用海藻類に比較して明らかに高く,収集した8
試料すべてが2 mg/g を上回っており,平均で5 mg/g 近い値となった。
最近,ヨウ素摂取量の中央値が741 μg/d である北海道沿岸部の小児において,甲状腺体積が有意に大きいことが示されている10)。 このことは,日本人といえども
過剰にヨウ素を摂取すれば健康に有害な影響が生じることを意味している。 したがって,日本人を対象にしてヨウ素摂取と甲状腺機能の関連をあらためて正確に把握する必要がある。
食用海藻中でヨウ素濃度が最大なのはコンブであるとされている。 しかし,通常のコンブの摂取法(出汁をとる,佃煮類に加工するなど)では,コンブ中のヨウ素をすべて摂取することがないので,コンブ製品の摂取がヨウ素過剰摂取につながる危険性は小さいと考えられてきた。 しかし,近年では,コンブの新規な食べ方が開発されており,コンブ中のヨウ素をほとんどすべて摂取する機会が出現している。 事実,新規な
コンブ加工食品の
大量摂取により甲状腺機能異常をきたした症例も報告されている11)。
表1.食用海藻類のヨウ素濃度
海藻 n ヨウ素濃度(mg/g dry weight)
コンブ類 8 4.82(2.42〜9.39)
ワカメ 2 0.39(0.30〜0.47)
アマノリ 1 0.22
ヒジキ 1 1.1
モズク 1 1.31
アオサ 1 0.17
値は平均値(最小値~最大値)を示す。
----- 以上
引用終了 -----
なお最後に、これは筆者のより安全側に偏った考え方ですが、安全基準を超える放射性ヨウ素が雨が降った後水道水から検出されたというニュースや、高濃度の放射能を帯びた廃液が海に流れていたというような不測の事態が次々に起きていることを考えると、万一悪い方向の不測のことが起きたときに何か対処するべき手段を持っているかどうかというのは、あり得ないような万一のことにも備えて保険をかけておくようなものなのではないかと思います。
15mの津波が襲ってくるような事態はあり得ないと考えていたわけですし、原発は万一不測の事態が起こっても炉心溶融するに至ることはあり得ない事態だったはずです。 排出基準値の何百万倍(※)という放射能汚染水が海に流れていたなどという事態は、それ以前の平常時、基準を少し上回っただけで大きくニュースに取り上げられていたころから考えると、何百万倍も信じられない事態であるはずなのですが、海では薄められるので大丈夫だと言われると、何故か他の数々の重大な出来事のため個々の事象については危険性への感覚が薄れてきてしまっているような気がします。
(注※: 4/5時点東京電力は、取水口付近亀裂近くの海水で、法令濃度限度の750万倍に上る1立方センチ当たり30万ベクレルの放射性ヨウ素131を検出したと発表)
また今回突然の経済産業省の発表(国際原子力・放射線事象評価尺度 暫定レベル7相当)など、悪い話は極力抑えられ突然発表されることが多いように思われます。
さて、ワカメやコンブなどには自然界のヨウ素が多く含まれており、日本人はこれを日常的に摂取しているので、比較的こうした放射性のヨウ素は摂取されにくいと言われています。 しかしこのような状況ですから、少なくとも意識的にこうしたヨウ素を豊富に含む食品は日常的にとるようにして、不測の事態の際にヨウ素が取り込まれやすい状態、つまりヨウ素が欠乏しているような体の状態にはならないようにしておきたいものです。
ただし、過去に海の近くにお住まいの方々が海藻類を日常的に取り過ぎていて、ヨウ素過剰障害になっていたという事例もあるようですので、取り過ぎにも要注意なのではありますが。 これには前表の「主な食品(可食部100gあたり)のヨウ素含有量」や、「ヨウ素の食事摂取基準」の表が参考になるかと思います。
同、最近の原発事故に関連し、ヨウ素の定量的な話について関係するページ:
http://morinoneiro.jp/kagakude/ennshokuhannnou/KI_KIO3_IODINE.html (
クリック レ)
本ページの元ページ(炎色反応の実験)はこちら
http://morinoneiro.jp/flame1_set.html) (クリック レ) ~不思議な色の世界~ 炎色反応
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・さまざまな色の貝、
といった 「色」や「科学」に関係したことがら、花に関係したことがらを主テーマとし、ここから関連して、
・香りに優れた花色々
・花の香りの科学
・採集貝コレクション
・色彩豊富な 「美しい南フランス」
・高分子の科学、科学であそぼう「ペットボトルロケット」
など、いろいろを紹介しています。 是非、本ページのホーム「~不思議な色の世界~」をチェック
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